触ることで現実とつなぎ止めてる

なんかおかしいな、と思い出したのはじいちゃんが入院しだした頃。

ばあちゃんは毎日お見舞いに病院と家を往復して、心身の疲労が溜まってたんだろうな。

じいちゃんは調子悪いからイライラしてるし、ばあちゃんはそれを荒立てないように気を遣いまくってた。

穏やかなばあちゃんが気を張り巡らす様はあんま見たことなかったから、じいちゃんの入院が終わればばあちゃんは元に戻るもんだと思ってた。

じいちゃんの看病疲れだろうって。


しばらくしてじいちゃんが死んだ。
３年前の１２月かな。

喉周りから広がった癌が原因で、亡くなる直前は食べ物飲み込めなくて、辛そうだった。


思い起こせば、俺にとっては厳しくて怖いじいちゃんだった。

書き初めの宿題が出たから、習字をやってたじいちゃんに教えてもらおうとしたら、何百回も練習させられたり、色んなエピソードがある。

親に言わせれば、唯一の男の孫だからって、相当俺には優しかったみたいだけどね。


まあそんなわけで葬儀も終わって、ばあちゃんはそのまま横須賀で一人暮らししてたんだ。

葬儀のゴタゴタもあったせいかと思ったけど、ばあちゃんの様子がおかしいことに家族や親戚が気づいた。

俺の名前が分からない、おじさん（息子）と俺を取り違える、ニットの編み物の先生だったばあちゃんが編み物ができなくなってる。


叔父さんいわく、兆候はあったみたいなんだけど、そこで精神科受診。

アルツハイマー型認知症の診断だった。


うちか、叔父さんかが同居することが話し合われたんだけど、じいちゃんが入院した折から、ばあちゃんは他人にすごく神経質になってた。

住居の問題もあったけど、そういう感じだったから、ばあちゃんはそのまま横須賀で一人暮らししてたんだ。

週一回様子見に行くことにして。



そんで先週、ばあちゃんは早朝にご近所に訪問したらしく、近隣に迷惑をかけるのはマズい、ってことでうちに強制収容。

特別養護老人ホームに入れる意向みたいで、それが決まるまでうちの家で一緒に暮らすことに。


ばあちゃんはしばらく見なかったせいか、慣れない環境のせいか、だいぶ認知症が進んでいた。

トイレ頻回、けどトイレの始末の仕方が分からない、トイレの場所が分からなくなる、外出欲求（帰ってこれなくなる）、風呂や歯磨きを嫌がる、抑鬱傾向。


とまあこんな感じだから、家族がピリピリしちゃって、家の中の空気が悪い。

ほっとくと何するか分かんないから、誰かしらかがうちにいるようにしてるし。

認知病棟で働いてた俺ですらちょっといらっとすることがあるくらいだし、家族はもっとキツいだろうな。


そんなわけで結構おうちにいるようにしてます。

だーらだら。


何が言いたいかって、うちにいるのに飽きたからどっか行きたいな、ってことです。

だらだら。